「人を動かす」に学ぶ子育て術
D.カーネギーの書いた名著「人を動かす」を最近読みました。
元々は仕事で読むように言われて読んだのですが、会社だけでなく、日常生活(妻との関係、子育て)について色々考えさせられ、有意義だったので記事にして見ます。
この本は題名にある通り、「人を動かす」ために必要なことを書いた本です。
「人を動かす」というと、人を一方的に支配するような印象を受けますが、カーネギーが言う「人を動かす」の意味は全く違います(命令するのはNGだと明確に書かれています)。
・相手の立場になって考える
・相手の話を聞く
・相手を褒め、自分を下げる
等々
相手を一人の人間としてきちんと尊重し、相手の立場で考え、行動することで結果として相手が主体的に自分のやりたい方向に向いてくれると言うアプローチです。
日本にも昔から「情けは人のためならず」と言うことわざがありますが、これに近い考え方ですね。
イソップ童話の「北風と太陽」の話も例としてあげられていました。他にもソクラテスやリンカーンの逸話等、過去の偉人のエピソードも多く出てきています。
書いている内容はカーネギーだけが言っている内容ではなく、様々な過去の偉人が言っていたり、経験的に知られていたりすることでもあります。
ただ、改めて原則としてまとめてあるので、カーネギーのいう「人を動かす」ために必要なことを効率的に理解することができます。
私が特に印象に残ったのは
1. 自己の重要感に対する欲求は人間の特性
2. 相手の心の中に強い欲求を起こさせること
3. 議論で負けても、その人の意見は変わらない
です。
1. 自己の重要感に対する欲求は人間の特性
上にも書きましたがこの本の内容を抽象化すれば、以下だと思います。
相手を一人の人間としてきちんと尊重し、相手の立場で考え、行動することで結果として相手が主体的に自分のやりたい方向に向いてくれる
この相手の立場で考える上で重要なのが、「自己の重要感に対する欲求」と言う人間ならではの特性です。
この本の中では、目の不自由な少年、スティーヴィー・モリスの例が出ています。
ある日、授業中に実験用のネズミが逃げてしまいました。
その学校の先生は、スティーヴィーにネズミを探すのを手伝ってくれるようお願いしました。
なぜなら、彼は目が悪い代わりに、耳が非常によいことを知っていたからです。
そして、スティーヴィーはこの時初めて自分の才能に気づきました。この日から彼の新しい人生が始まったのです。
彼は偉大な歌手になりました。その名は、スティーヴィー・ワンダー。
彼のミュージシャンの最初の一歩は、学校の先生が重要性を認めてくれたところから始まったのです。
私はこれを読んで、妻との接し方を反省しました。
いつも妻の「できないこと」ばかりに目を向けて、文句を言っていました。
一方で、妻の「得意なこと」、妻に「感謝すべきこと」、私にとって「妻がいかに重要であるか」は口に出してきませんでした。
妻は今専業主婦です。ただでさえ、狭い世界で自分の重要性に疑問を持ちやすい環境なのだから、夫である私がきちんと重要であることを言うべきだと反省しました。
2. 相手の心の中に強い欲求を起こさせる
つい子供に「〜しなさい」、「〜はダメ」と言ってしまう。そのような方は多いのではないでしょうか?
私もそうです。しかし、この本によればこのようなアプローチはNGです。
子どもに何かして欲しいとき(何かをして欲しくないとき)には、子ども自身がそう思わなければいけません。
そのためには、子どもの目線に立って、考える必要があります。
本の中では、例として子どもの偏食をやめさせたい親の話が出ています。
最初、親は「丈夫な体になって欲しいから」好き嫌いをやめるよう言います。
しかし、子どもは言うことを聞きません。
そこで、親は子どもの目線で考えました。
そして、子どもが近くのガキ大将にいじめられていたことに目をつけ「偏食をやめればガキ大将に勝てる」と言ったところ、偏食が治ったのです。
私には5歳の娘がいますが、娘は可愛いお姉さんになることに憧れています。
そのため、何かやって欲しいことがあるときは、「これができるようになれば可愛いお姉さんに一歩近づけれるよ」と言うようにしています。
もちろん、全部うまくいくわけではないですが、頭ごなしに怒るよりもはるかに効果があります。
3. 議論で負けても、その人の意見は変わらない
議論好きな私はかなりハッとさせられました。
この本では、議論に勝つためには議論を避けることが一番であるとも書かれています。
・議論すればするほど、双方が頑なになり、自分の主張が正しいとますます思うようになる
・仮に勝ったとしても、相手はそれでどう思うか?劣等感を持ち、自尊心を傷つけられ、何もプラスにならない
逆に相手の主張を認め(仮にそれが間違っていたとしても)、自分が誤りだと認めれば相手もそれ以上攻めてはこないし、譲歩してくれるのだと。
これもまた妻との付き合い方を見直すきっかけになりました。
これまで、妻と意見が対立するたびに議論し、負かすまで(もしくは、相手がもういいやと思うまで)、攻撃的な発言をしていました。
しかし、これを繰り返せば双方の溝はますます深まり、妻の自尊心をどんどん傷つけることになります。
議論好きで負けず嫌いは自分の根底にある正確なので難しい面もありますが、少しずつ直していこうと思います。
結婚して既に6年経ちますが、いま気づけてまだよかったと思っています。
だいぶ長文になってしまいましたが、この本に書かれていることは原則的なことであり、色々な場面(仕事でも家庭でもプライベートでも)で適応可能です。
例も様々な例(歴史上の自分の例から、カーネギーの講義の受講者の体験、カーネギー自身の体験)が掲載されており、わかりやすいのでとてもおすすめです。
名著なのでもう読んだという方も沢山いると思いますが、読んだことない人は、是非読んでみてください!